『狭き門』

   ジッドの『狭き門』を読みました。

 

   この小説は、簡単に言うと一人の女性が神

への信仰と、人としての愛の狭間で苦しむ物

語です。

 

  主人公ジェロームと、その従姉アリサは幼い

頃より愛を育み、やがては結婚を誓う間柄と

なります。しかし、母親の不倫に影響を受け

神への堅い信仰を持つアリサは、ジェローム

を愛しながらも、結婚を拒み続け、最終的に

は人知れず病で亡くなってしまいます。

 

   ジェロームは、アリサの遺した日記から、

彼への愛情と神の元へ向かう戦いの間で苦し

んでいた、彼女の真実を知るのです。

   

  多くの日本人がアリサの気持ちを、信仰を、

完全に理解するのは難しいのではないでしょ

うか。

 

   日本人で1つの宗教を唯一神を信じている人

は少ないですから。家が何かしらの宗教に入

っていたとしても(私の家はそうです)、現

代でその中のどれだけの人が、その宗教を頑

なに信じているのでしょう。

 

   宗教を信仰している人を批判しているわけ

ではないので、悪しからず。

 

   私には、アリサの気持ちを理解することが

出来ませんでした。ジェロームはアリサだけ

を愛していて、アリサ自身もジェロームを愛

してるというのに、どうして彼女は愛し愛さ

れることを一貫して拒み続けるのだろう。ず

っとそんな風に思いつつ、この小説を読んで

いました。

 

  自身の幸せを、ジェロームの幸せをも犠牲に

するほどに神とは大切な存在なのでしょう

か。私にはきっと分かりません。

 

   『狭き門』は、作者と彼の妻マドレーヌが

モデルになっています。マドレーヌは物語の

アリサ同様、ジッドの求婚を拒み続けまし

た。

 

  最終的に2人は結婚したものの、ジッドはマ

ドレーヌと肉体関係を結ばず、更には同性と

関係を持ったり、愛人に子供を産ませたりと

やりたい放題。婚姻関係は事実上破綻してい

たといいます。この辺りは解説ページの受け

売りでしかありませんが。

 

   小説の中で、妻をモデルとしたアリサに死

の運命を与えたのも中々凄いなと個人的に思

います。

 

   自分の感じたことを書くのは昔から苦手で

す。自分の文を読み返しましたが、綺麗な文

とはとても言えませんね。