成人式がこわい話

 

   地元の新成人グループLINEに招待された。

 

   10月後半になっても、地元の子から何の音沙汰もなかったので、てっきりハブられてると思っていた。まじで。

 

   招待中の子達が沢山いたので、これまで同級生が誰も動いていなかっただけのよう。

 

   それはさておき、私は成人式が怖くて仕方ない。成人式は、というより小中の同級生と、もしかしたらその親とも会うのが。

 

   私はいじめ経験者だ。教育委員会が介入する事態になったこともある。

 

   酷かったのは、小学生の時。私に聞こえるように悪口を言ったり、足を引っ掛けてわざと転ばせたり。当時の私は、自分で振り返っても、相当変わった子だったし、アトピーで肌はボロボロで、運動も出来なかった。だから、そういう標的になったのも仕方がないとは思っている。

 

   中学生になってからは、私の変わった部分も個性の1つと受け入れられ始めたので、一部の子以外とは、少なくとも表面的には仲良くなれた。卒業式では、クラスの子と一緒に泣いたり、担任の先生にプレゼントを渡したりなんかもした。

 

   それでも、記憶というのは恐ろしいもので、幼い頃にされたことは今でもはっきり覚えている。乱暴な男子に大声で脅かしてきたこと。鉛筆を盗まれたこと。遠足のグループに入るのを断られたこと。他にも沢山。

 

   私は今でも地元のスーパーやファミレスやレンタルショップに行くことを避けている。

 

   もし同級生とすれ違ってしまったら、それで、私だと気付かれたら、また裏で陰口を叩かれるかもしれない。肌や家の事で笑われるかもしれない。自意識過剰かもしれない。それでも、怖い。怖い。怖い。

 

   私が中学卒業後、同級生達に会うのは、来年の一月が初めてだ。連絡を取っている人だって誰一人いない。

 

   あの時、私を虐めていた人達は、それを傍観していた人達は、私のことをどこまで覚えているのだろうか。コンタクトにして、化粧を覚えて、昔よりずっと綺麗になった私を見てどう思うだろうか。

 

自分達がやったことを忘れて、「久しぶり〜!」なんて笑いかけるのか。それとも、昔のように「うわ、あいついるんだけど。」と仲間内で話すのか。

 

   どっちにしろ嫌だ。

 

   成人式なんて行きたくない。でも行かなきゃいけない。孫の晴れ姿を楽しみにしている祖母を、亡くなる前に振袖を買ってくれたままを、裏切る行為だから。

 

    私は、死刑囚のような気持ちで、その日が訪れるのを待っている。